【君の名前で】主題歌を担当したスフィアン・スティーヴンスというシンガーについて【僕を呼んで】


 

 

みなさまゴールデンウィーク中日、いかがお過ごしでしょうか?東京は夕方から雨でした。こんな日はおうちでしっとり音楽を聴いて夜を過ごすのもいいかもしれませんね。

本日はそんな日に聴くのにぴったりのシンガー・ソングライターのスフィアン・スティーヴンスについてご紹介します。これは書かないわけにはいかない!と思わず久しぶりに筆をとりました。(まぁキーボードですけどね!)

 

日本では先日4月27日(金)にようやく公開となった話題の映画「君の名前で僕を呼んで」。各所で早速映画の感想が述べられる中「音楽が最高すぎた」「映画を観てから主題歌が頭から離れない」「歌声が切なすぎる」と、劇中の音楽に関しての感想が多数あがっているのをSNS上で目にした方もいるのではないでしょうか?

その話題の主題歌および劇中音楽を担当しているのが本日ご紹介するスフィアン・スティーヴンスなんです。今回映画を通して初めてスフィアンを知ったという方だけでなく、映画を観ていない方も、スフィアン知ってるよ/音楽聴いたことあるよという方も、この機会に是非改めて。

 

 

映画 君の名前で僕を呼んで (原題:Call Me By Your Name)

 

話題の映画とはなんぞや、という方へまずこちらがその映画、『君の名前で僕を呼んで』です。

日本版予告動画

公式HP:http://cmbyn-movie.jp/

出演:ティモシー・シャラメ、アーミー・ハマーほか
★第90回アカデミー賞において、作品賞、主演男優賞、脚色賞、歌曲賞(主題歌賞)の4部門にノミネートされ、脚色賞を受賞。

1983年夏の北イタリアの避暑地を舞台に、17歳のエリオが大学教授の父が招いた24歳の大学院生オリヴァーと惹かれ合っていく様を描いた作品。オリヴァーを相手に初めての恋を知るエリオ役をティモシー・シャラメ、オリヴァー役をアーミー・ハマーが演じる。

この映画の主題歌および劇中歌を書き下ろしたのがスフィアン・スティーヴンス。映画の感想は書き始めたら止まらないので自粛します。(みんな観て!!)

さてそれではスフィアンを掘り下げていきますよ!

 

 

 

スフィアン・スティーヴンスの音楽

音楽については何を語るよりも楽曲を聴くのが一番!ということでプレイリストを作ってみました。聴きながら読み進めてくださいね。主題歌「Mystery Of Love」でスフィアンを知った方におすすめしたい曲と、同じく胸がきゅっとなる歌を描くSSWたちの楽曲をセレクトしました。(気を抜いて聴いていたらうっかり涙が零れてしまうのでご注意を。)

 

リンク:https://open.spotify.com/user/hostess_entertainment/playlist/78LjOiQAm8EzLd8PMuB9cB?si=DWPmc5egQRq41yW9aMot6A

 

スフィアンって?

さて、スフィアン。ミシガン州デトロイトに生まれ同州のペトスキーで育った、ニューヨーク在住のシンガー・ソングライター兼マルチ・インストゥルメンタリスト。”Sufjan Stevens”と書いてスフィアン・スティーヴンスと読みます。先ほどから連呼してる日本人にはあまり馴染みのない珍しいこの名前は、イスラム教に先立つアラビア語/ペルシャ語圏の名前だそう。スフィアンが生まれたときに彼の両親が所属していたスブド(と呼ばれる独自の思想を持った団体)のリーダーによって名づけられたことが過去にいくつかのメディアで言及されています。起源はアルメニアで「Comes with sword」を意味するんだとか。

マルチ・インストゥルメンタリストとして知られるスフィアン。バンジョー、ギター、ベース、ドラム、ピアノ、リコーダー、ヴィブラフォン…その他数多の楽器を演奏し、アルバムではマルチトラックを使用してこれら楽器の全てを演奏したりもしています。学生時代にはオーボエとイングリッシュ・ホルンを学び、彼は著名アーティストの中でもこれらの楽器を使用する数少ないミュージシャンの一人なのです!

 

エリオット・スミス以来の驚嘆すべき才能!

彼此約20年になろうとしているキャリアの始まりとなるデビュー・アルバム『ア・サン・ケイム』は2000年にリリースされました。その後2003年にリリースした出身州でもあるミシガンをテーマとしたアルバム『ミシガン』と、続いて2004年にリリースした『セヴン・スワンズ』が、”エリオット・スミス依頼の才能だ!”と世界中で反響を呼び話題となりました。

2005年にはアメリカの50州ひとつひとつのためにアルバムを作るという壮大なプロジェクト”The 50 States”の第二弾となる『イリノイ』をリリース。Rolling StoneやNPR等有力メディアから絶賛を浴び、ビルボードの“Heatseekers Albums”第一位を獲得。翌年にはアウトテイク集『ジ・アヴァランチ』、そして42曲入り(!!!)の『ソング・フォー・クリスマス』をリリースしました。

その後も精力的に自由奔放な創作活動を続け、多数の作品を世に産み落とし、2008年には初来日単独ツアーも行いました。

『リトル・ミス・サンシャイン』や『The O.C.』をはじめとした映画やTV ドラマでも彼の音楽が頻繁に使われていることはちょっとしたトリビアかも?

 

 

 

Carrie & Lowell

3度の夏を過ごした幸福な夏の記憶

そんな多作なスフィアンですが、中でも特筆すべきは2015年にリリースしたアルバム『キャリー・アンド・ローウェル』。実母キャリーの病死に際して作成され母親と継父の名を冠した、キャリア最高傑作との呼び声も高いこのアルバムは2015年の各メディアの年間ベスト・アルバム・ランキングにも軒並み上位へランクインしていました。

精神を病んでいたという母キャリー。アルバム収録曲の歌詞にも出てきますが、スフィアンがまだ幼い頃に彼の元を去っていったという複雑な事情があり、彼は人生のほとんどを母と過ごすことがなかったそうです。そんな中、幼少期にほんの少しだけ、母とその再婚相手と共に過ごしたオレゴン州での夏の思い出があるそう。疎遠だった母をその再婚相手である継父ローウェルと看取った経験と、幼少期の夏の記憶をモチーフにして作成された本作。そんな背景からもお察しの通り、スフィアンのこれまでの作品の中でも最もパーソナルで内省的なアコースティック作品に仕上がっています。

キャリア最高傑作!米音楽批評メディアPitchforkでも9.3点を獲得

彼の得意とするストーリーテリングの才能が遺憾なく発揮されていて、歌詞の言葉一つ一つに、繊細で緻密な音の並び一つ一つに、どこまでも感動させられてしまう本作は、アメリカの音楽批評メディア、ピッチフォークでも10点満点中9.3点という超高得点を獲得しているんです。(凄い!)バンジョーの穏やかな旋律と彼の美しい歌声が優しく全身に沁み入る至極の1枚、今回映画を通してスフィアンを知った方もこれは必聴です。ぜひ頭からお尻まで、アルバムを通して聴くことをお勧めします。

そして『キャリー・アンド・ローウェル』を聴いたらその流れでアウトテイク&リミックス集の『ザ・グレイテスト・ギフト』も合わせてチェックしてみていただきたいところ。オリジナル・アルバムのアウトテイクとして4曲の未発表曲のほか、貴重なデモ音源なども収録されていてこれもまた素敵なんです。

 

 

 

 

 

喘息の子ネコ

スフィアンの作品をリリースしているのは、咳込むネコの絵がなんともかわいいこのレーベルロゴが印象的な<Asthmatic Kitty Records>というレーベル。日本語にすると”喘息の子ネコ”というこのレーベル名は遡ること1995年、森を彷徨っていたオレンジとホワイトのロングヘアーのセクシーなネコから名づけられたそうです。そしてこのレーベルのディレクターはなんとスフィアンの継父であるローウェル。もうこの時点でいい話。(涙)

ローウェルは熱心なレコード・コレクターで、幼いスフィアンに様々な音楽を聴かせたのもまたローウェルであったそうです。少年時代から高校時代にかけてはミックス・テープを作っては渡し、スフィアンが大学でバンドを組むとまたその公演も観に行ったりしていたそう。

スフィアンは「家系とか血とか、厳しい親子関係とかでは全然なく、ローウェルはただそこにいた」とかつてのインタビューで振り返っていましたが、その”ただそこにいた”というそのことが、どれだけ彼の人生において大切で素晴らしいことだったか計り知れないですし、もしかしてそれがなかったら、今わたしたちは彼の素晴らしい音楽に出会えていなかったかもしれないと思うと、我々もローウェルに感謝しかないですね。ありがとうローウェル。。

 

 

 

アカデミー賞ノミネートで話題に

さて、話を映画の主題歌に戻します。スフィアンが歌う主題歌「Mystery Of Love」はアカデミー賞にて歌曲賞にノミネートされたことでも話題となりました。惜しくも受賞は逃しましたが、授賞式ではなんとホステスファミリーから、NYのインディー・クイーン=我らがセイント・ヴィンセント姐さん、昨年のデビュー作『Aromanticism』が各所で絶賛されている新人:モーゼス・サムニーを含むスペシャルセットのバンドと共演し生演奏を披露しました。

 

オスカー授賞式での演奏の様子

(大きな声では言えませんが、YouTubeで”Sufjan Stevens // Mystery of Love // 90th Academy Awards”なんて検索してみたら何かいいものが見れるかも?)

 

 

歌声に、世界観に浸る。

今回映画でスフィアンを知って気になった方は、ぜひサントラだけでなくスフィアンの作品をいろいろ聴いてみてください。あの映画を好きで音楽が気に入ってスフィアンを気になってここに辿り着いたあなたはきっともう既に虜なはず。

 

レコードでじっくり聴くのも最高だし、ストリーミングで好きな曲を好きな順に並べて自分だけのプレイリストを作って聴くのもまた最高だし、国内盤をゲットして歌詞カードを読みながらじっくり聴くのも素晴らしい。

 

ざわざわした心を落ち着かせて、感情をリセットさせてくれるスフィアン・スティーヴンスの歌声に、世界観に、みなさんも浸ってみてください。

 

他にもいっぱい語ることがあるのですが(羽の話とかね!)長くなってしまったので今日のところはこんなところで。

みなさま素敵なゴールデンウィークを過ごされますよう。

 

 

それではまた、「あとで!」

 

 

 

■リリース情報

アーティスト名:スフィアン・スティーヴンス
タイトル:キャリー・アンド・ローウェル
品番:HSE-60207
レーベル:Asthmatic Kitty / Hostess

<TRACK LIST>
01. Death With Dignity
02. Should Have Known Better
03. All of Me Wants All of You
04. Drawn to the Blood
05. Eugene
06. Fourth of July
07. The Only Thing
08. Carrie & Lowell
09. John My Beloved
10. No Shade in the Shadow of The Cross
11. Blue Bucket of Gold

※詳細はこちらから。

 

 

 

.