ヒップホップ輪廻 ~NYハーレムから”RATKING(ラットキング)”登場



93年、ヒップホップ界に激震が走った。NYを拠点に活動するRZA、GZA、Method Man、Raekwon、Ghostface Killah、Ol’ Dirty Bastard、U-God、Inspectah Deck、Masta Killa等で結成されたWu-Tang Clanが衝撃のデビューアルバム『Enter the Wu-Tang (36 Chambers)(邦題:燃えよウータン)』を発表したのだ。
当然WU以前にも多くのポッセが存在したが、90年代を代表するグループと言えばWu-Tang Clanは欠かせないだろう。


Wu-Tang Clan – Ain’t Nuthing Ta F’wit 投稿者 soulblade93

96年~2000年、インターネットが爆発的に普及する中、ヒップホップ・シーンには<Rawkus>、<anticon>、<Definitive Jux>などアンダーグラウンド~オーバーグラウンドまで支持を集める重要レーベルが誕生する。<Rawkus>からはBlack Star(Mos Def&Talib Kweli)、Company Flow、<anticon>からはSole、Themselves(Doseone&Jel)、Why?、<Definitive Jux>からはEl-P、Aesop Rock、RJD2、Mr. Lif、<Rhymesayers>からはAtmosphere、Mr. Dibbs、Eyedea&Abilities、P.O.S、Blueprint等を輩出。Myspaceを介して音源を公開することにより世界中に作品を発表する機会が増えていった。また自主制作盤のリリース形態がカセットテープからCD-Rへと移行した時期でもあり、自主盤の大量生産が容易となったこともアーティストを後押しした。
99年、Scribble JamなどのMCバトルに参加していたEminemがメジャーデビュー・アルバム『The Slim Shady LP』を発表。アンダーグラウンド・シーンからは数々の嫉妬とディスが生まれたが、その後自身の半生を基に制作された(?)映画「8マイル」は、ヒップホップを知らない層とMCバトルキッズ達に大きな夢を与えた。

2011年、LAからトンでもないラッパー/プロデューサーが登場する。アーティスト集団Odd Future/OFWGKTA(オッド・フューチャー)を率いるTyler, The Creatorだ。この時点で既に注目を集めていた彼がサインしたのはアデル、レディオヘッド、べック、プロディジー、M.I.A.、ベースメント・ジャックス、ボビー・ウーマック、ヴァンパイア・ウィークエンドなどをリリースする<XL Recordings>だった。通算2作目で世界デビューアルバム『Goblin』からの衝撃のミュージックビデオ「Yonkers」が賛否両論を浴びるも、Kanye West、Eminem、Mos Def、Method Man、Adele等、大物アーティストが大絶賛。音楽メディアでも引っ張りダコとなった。『Goblin』は全米チャート初登場5位(R&B/Hip-Hop部門1位)を獲得。

そして2012年、NYハーレムを拠点に活動するヒップホップ集団”RATKING(ラットキング)”が登場する。レーベル争奪戦の末<XL Recordings>傘下の新レーベル<Hot Charity>と契約。
RATKINGはWiki、Hak、Sporting Life、Ramonからなる10~20代前半のラッパー/プロデューサーで結成されたヒップホップ・グループで、11月に<Hot Charity/XL Recordings>から『Wiki93』EPを発表予定だ。


90年代生まれで20歳前後のヒップホップ・アーティスト・・・Odd Future(Tyler, The Creator、MellowHype、Frank Ocean他)、Raider Klan Mafia(SpaceGhostPurrp他)、A$AP Mob(A$AP Rocky他)彼らはWu-Tang Clan、Nas、Def Squad、D.I.T.C.など黄金期ヒップホップを子守唄に育った世代。要注目だ。