【インタビュー】新体制となったJOY OPPOSITES、楽曲制作の変化や今後の活動について語る


JOY OPPOSITESが7月10日(水)にEP『BAD PHASE(バッド・フェイズ)』を配信リリースした。昨年オリジナルメンバーが2人脱退し、新体制になってから初のリリースとなる今作は、シンセサイザーを取り入れたり、現代社会に対する感情をリリックに反映させるなど、音作りから歌い上げる世界観まで何もかも新しいことに取り組んだ作品だ。そして本作には、バンドとしての進化が伺えるオリジナル曲3曲に加え、Alice In ChainsからBillie Eilishまでバラエティ豊かなアーティストの4曲のカバー曲も収録されている。今回、前作から約1年半ぶりとなる新EPの制作背景や現在のバンドのモードについて、メンバーのAdamにロングインタビューを行った。

_まずはじめに、昨年オリジナルメンバーが脱退していますが、2人体制になって大きく変化したことはありますか?

今までは“バンドであること”や、“ライブで演奏すること”を意識していて、ドラムやベースのフレーズのバランスを考えながら楽曲制作をしていました。でも今作はImmyと2人だけで取り組んだから、ドラムやベースのフレーズについては全く意識していません。たとえば収録曲の「Bad Phase」はサビの部分にしかドラムを入れていないし、他は全部打ち込みでやってる。あと、その曲のヴィジョンに合う楽器を取り入れるようにしました。今回だとシンセを使いながら曲作りを進めていきました。でも今までも基本的には俺とImmyの2人で曲を作ってきたから、曲作りのやり方はそんなに変わってないですね。

_なるほど。これまではオルタナティブ・ロックの印象が強かったのですが、本作ではまさにシンセサイザーなどこれまでよりも幅広いサウンドを取り入れていますよね。サウンドや機材面で前作から変化したことについて詳しく教えてください。

今まで曲作りのときにはGarageBandというソフトを使っていました。基本的にギターから作るし、簡単に音が録れるから。今までは俺がギターとボーカルの音源をImmyに送っていたけど、今回ギターから作りはじめた曲はひとつもないんです。今回は何か新しいことをしたくて、根本的なことを色々変えたいと思って曲作りに取り掛かりました。今作は色んな音から作ったし、取り入れたいサウンドも多かった。でもそのやり方だとGarageBandだけでは物足りなくなったので、Logicというソフトにアップデートしました。楽曲制作のアプローチが今までと変わってくるので、音の幅をより広げるためにパソコンまわりやエフェクター、ボーカルアンプを増やしたりとか。Immyはバンドだけじゃなくてプロデューサーとしても活動していて、ミックスするときのスタジオ用の機材をいっぱい持っているからそれも活用しました。

_前作『Find Hell』から約1年半ぶりにリリースされる新EP『BAD PHASE』ですが、EPのコンセプトやテーマについて教えてください。

EPのテーマっていうのはないかな。前のマネージャーの提案でカバー曲を作ることになったんですけど、実はもともと5曲カバーしていたんです(EPはカヴァー4曲収録)。でもそれをどういう風にリリースするかはずっとわからないまま、同時進行でアルバムも作ってたんですけど、それは今も引き続き制作中だし。そこでImmyと2人で話し合って、今のタイミングでEPをリリースすればアルバムまでのギャップが短くなるしカバーも出せるってことでEPを出すことにしました。アルバム用に収録した曲が30〜40曲くらいあるので、その中から選んだ3曲(「Bad Phase」、「Whatevvver」、「Holy Smoke」)と、カバー4曲を合わせてEPにしました。だからEPのコンセプトっていうのはないんですけど、オリジナルの新曲3曲は基本的にはソーシャルメディア、宗教、ゲイの人たちへの扱いについてなど、社会問題がテーマになっています。今までJOY OPPOSITESでは社会問題について歌ってこなかったんですけど、今回のEPはJOY OPPOSITESにとって新しいスタートだと思ったし、今までやったことのないことを音でも歌詞でも挑戦してみたいと思って作りました。

_社会問題について取り上げていると今おっしゃっていただきましたが、音楽を通して社会とどのような関わり方をしていきたいと考えていますか?

んー、特に理想はないですね。というのも、俺は今までずっと社会問題について語る立場にないと思っていて。俺にはそんな知識はないし、俺がなにか言ったところで他の人は俺の話を聞いてくれないだろうと思っていた。と同時に、Rage Against the Machineや、Immyが今ツアーマネージャーをしているFEVER 333みたいに、社会問題について歌うバンドがいてもいいと思ったんです。俺たちがファースト・アルバムをレコーディングしていた時、トランプはまだ大統領になっていなかった。たった3年前のことなのに世界が今と全く違っていた。この3年間で色々と恐ろしいことが起きています。今回のEPの歌詞は、何かを変えようとは思っていないけど、単純にこういう問題があるからちょっと考えてみて、ということを伝えたくて書きました。

_曲を作るときに歌詞とメロディーどちらから先に作ることが多いんですか?

俺が作るときはボーカル・メロディーからスタートすることが多いです。歌詞は仮の状態のときはすごく適当な歌詞をつけるんですけど、だいたい食べ物のこととか。(笑)Immyが曲を作るときはパーツごとに送ってくれるから、俺がそれを聴いてメロディーを付けて、そこから使いたい単語とかを入れてそこから歌詞を固めていく感じ。場合によってはメロディーを変えたり、どうしても歌詞が入らないときはImmyと相談しながらいじることはありますけど。EPの3曲は基本的にImmyが書いたけど、ボーカルのメロディーと歌詞は俺が書いて、あとから2人で相談しながらアレンジして仕上げていきました。でもImmyがメロディーを作らないというわけじゃないし、俺が曲作ることも多いから、役割は特に決まってないです。お互いに、メロディーや歌詞で変えた方がいいところがあればアドバイスをして、もっといいものを作ろうと頑張る。俺がこれを作ったからどうしてもこれで行きたいっていうのはあまりよくないと思います。それは曲のためじゃなくて自分のためになっちゃうから。Immyとは付き合いが長いし、お互い尊敬し合ってるので、Immyがここまで言うならよしやろうってなるし、相手の意見を受け入れることは全然問題ではないですね。

_Immyさんはイギリス在住、Adamさんは日本在住ですが、物理的に距離がある相手と楽曲制作をする上で苦労した部分はありますか?

全くない!同じスタジオに入ってジャムしながら曲作りをするバンドって多いと思うんですけど、俺らはジャムしたことないし、今までずっとこのやり方でやってきてるから全然苦労に感じないですね。でもファースト・アルバムを出した後ツアーを回っているときに、一緒に同じ部屋で曲作ってた時期はあります。Immyが俺の家に来て、毎日俺がリビングでギター弾いてImmyにフレーズ送ってそれを曲にしてくれてたんだけど、そのときは逆に決められた時間で作んなきゃ!って感じでした。今はそういうのは全くなくて、空いている時間にできることをやればいい。なんとなくこの日までに何曲か完成させようって決めてやるのですごい楽ですね。

_明と暗の二面性が印象的なEPですが、どのような感情からインスピレーションを受けて音にしていったのでしょうか?

当時のバンドが置かれていた状況にインスピレーションを受けていますね。去年はバンドにとって一番最悪な年だったと思うし、『BAD PHASE』というタイトルには、“嫌な状況”という意味も含まれている。その時は、全てが重くて、楽しくなかった。その間もImmyと俺はずっと曲を作っていて、やりたくないけどやんなきゃなって思ってた時期もありました。そのときに感じてたストレスは曲の雰囲気に影響を与えていると思います。俺とImmyは基本的に明るいしハッピーだしダウナーな人じゃないと思うけど、やっぱり2人とも内にはダークな部分があって、それはJOY OPPOSITESの曲にも表れていると思う。辛い時期もあったけど、基本的にJOY OPPOSITESで作っている曲はメランコリックで、2人ともギターだとマイナーコードから作り出すことがほとんどかな。

_本作の制作にあたり、影響を受けたアーティスト、音楽、出来事などがあれば教えてください。

出来事でいうと社会問題。携帯を開くたびに恐ろしいニュースばかり目につきます。俺はマンチェスター出身でマンチェスターのニュース・アプリを入れてるんですけど、5~6年前、そのアプリを開くたびに殺人やレイプの事件のニュースが目に入ってきて、マンチェスターにいなくて正解と思っていました。だけど今はどこにいてもイヤなニュースが飛び込んでくる。毎日辛いとは思ってないけど、周りを見ると辛い思いしてる人が多いと思うし、それを良くしようとしてる人も少なくなっているように感じる。SNSを見るといいニュースよりも悪いニュースの方が多く感じる。そういう状況が今作の歌詞に影響していると思います。

音楽でいうと、Type O Negativeにすごくハマっています。ずっと前から好きなんだけど今またキテる。彼らの音楽はすごくダークなんだけどファンタスティックな部分もあって、80年代の映画のサントラにありそうな音を使ってる。メロディーのセンスも声も素敵で、あんなにダークで重い曲をやってるのに歌詞がちょっと面白いし、ユーモアがあって、作ってるマーチも可愛いんです。JOY OPPOSITESも実はちょっとそれを目指してますね。あとはThe Cureの『Disintegration』(The Cureのアルバム)も素晴らしい。それに今回カバーしているBillie Eilishもすごい好き。ポップなんだけど歌い方はダウナーなところとか、新しくてすごく好きです。

_オリジナル曲3曲に加えて、今話題のビリー・アイリッシュからグランジ代表格のアリス・イン・チェインズまでバラエティ豊かなアーティストをカバーしていますが、それぞれのカバー楽曲の経緯について教えてください。また、カバーしたアーティストへのそれぞれの想いについても教えてください。

カバーをするとき、オリジナルに近づけるか、全く新しい感じにするか、2つのやり方があると思います。全く新しいものにするんだったらより良いものにしなきゃ意味がないと思う。俺は原曲の良さをそのまま伝えたくてオリジナルに近づけるようにカバーしました。Alice In ChainsとLife Of Agonyは子どもの頃から聴いているアーティストで俺もImmyも大好きでずっとカバーしたいと思っていました。Phoebe Bridgersの「Smoke Signals」は、初めて聴いたとき彼女の声や曲のアレンジに驚かされたのを覚えてます。Billie EilishもPhoebe Bridgersも女性ボーカルだけど、俺たちが女性ボーカルの曲をカバーしてみたらどうなるんだろうって2人で話していました。この2組の女性アーティストの曲は元々のキーが高くて難しかったですね。実はLordeもやろうと思ってたけど、俺とImmyの好きな曲が分かれてしまい断念しました。

_日本と海外の音楽シーンを見比べてみてどう思いますか?

強く感じていることは、日本で暗い曲はあまり売れないということです。たとえばここ2~3年で一番売れてると言ってもいいアーティストのひとりでもあるPost Malone。彼の「rockstar」という曲はとても暗いけど、ビルボードチャートで1位を取ってるし、他にも色々賞とかにノミネートされていて、それは何でだろうなってずっと考えていて。日本でああいう曲はオリコン入るわけがない。そもそもそういう曲がオリコンチャートのトップに入るシステムがないんです。夏フェスとかに行っても、日本のバンドはノリのいいロックバンドが多く、そうじゃない暗いバンドはフェスのメインステージに出るのは厳しいし、それが残念だと思います。イギリスのフェスだったら暗いバンドでも全然問題なくメインステージに立てるし、ヘッドライナーも飾れる。そういうところに大きな違いを感じます。

_4月にはサーキットフェスで約1年ぶりにライブを行いましたよね。本格始動に向けて調整をしていると思いますが、ライブにおいて曲のアレンジなど心がけていることはありますか?

今まではライブのシンセの音とかをパソコンから出していて、ドラムの人がコントロールしてイヤモニで合わせながらライブをしていました。でも今回、その作業を俺が担当しなきゃいけなくなって。それについては今後やり方を考えていかなきゃいけないと思ってます。あとはライブをしてみて、今後生のシンセを使ってみたいと思いました。シンセはYuya(サポートギター)に弾いてもらいたいと思っています。彼はピアノもできるので。今後は、Immyがギター、Yuyaがギターとシンセ、俺はボーカルとギターっていう感じにしていきたいと思っています。ドラムとベースはまだわかんないですね。俺とImmyとYuyaでもっと話し合って、役割を決めていきたいです。

_改めて、このEPを通してリスナーに伝えたいメッセージを教えてください。

一番伝えたいのは、自分が正しいと思ってやりたいと思うことはやった方がいいと思う、ということです。今回のEPでも今まで使ったことがない音を使ったけど、それを使うことが正解だと思って使いました。俺らの経験からそれが正しいと思って作っています。

_最後に、EPリリース後の予定について教えてください。

まず現在制作中のアルバムを完成させようと思っています。できれば夏か秋までには完成させたい。あとは去年から今年にかけてそんなにライブをしてないので、もっとやりたいと思っています。誤解のないように言うと、去年1年間俺らは暇してたわけじゃなくてずっとひたすら曲を作ってました。俺もImmyも曲作るのすごい好きだから。 あとはすごく面白いことを今考えているので、楽しみにして待っててほしいです!

■リリース情報
アーティスト名:Joy Opposites(ジョイ・オポゼィッツ)
タイトル: Bad Phase(バッド・フェイズ)
価格:1200円

<トラックリスト>
1.Holy Smoke
2.Bad Phase
3.Whatevvver
4.Lovely
5.Weeds
6.Down In A Hole
7.Smoke Signals

※絶賛配信中!
リンク: https://smarturl.it/dkb62x

現在、前作『FIND HELL』が7月22日までの期間限定でプライスダウン中となっているので、新EPとあわせてチェックしてみては?

■リリース情報
アーティスト名:Joy Opposites(ジョイ・オポゼィッツ)
タイトル: Find Hell(ファインド・ヘル)
価格:1050円 ※期間限定プライス

<トラックリスト>

1. Blind Dogs
2. Head Full Of Tongues
3. Gold Blood
4. Sleep
5. Pretty Much
6. Either/Or
7. Cinnamon
8. Acid Kiss
9. When I Was A Ghost
10. Good Luck

※絶賛配信中! https://smarturl.it/JO_FH_album

■バイオグラフィー
2016年にイギリス出身のAdam(ヴォーカル/ギター)とImmy(ヴォーカル/ギター)を中心に結成されたロック・バンド。同年8月にAt the Drive-in、Death Cab for Cutie等を手掛けるAlex Newportがプロデュースしたデビュー・アルバム『Swim』をリリース。 “90sオルタナを継承するバンド”として話題となりアルバム発売直後にはサマーソニック2016に出演し、初パフォーマンスを披露。これまでにcoldrain、Crossfaith、SHANK、COUNTRY YARD、Crystal Lakeらのツアーへ参加やUSノイズロック・バンドNothingやCitizenのサポート・アクトとして日本ツアーに帯同するなど、精力的にライヴ活動を展開。2017年11月、Paul McCartneyや元One DirectionのZAYN等の名だたるアーティストを手掛けAdele『25』でグラミー賞を受賞した敏腕レコーディング・エンジニアLiam Nolanが参加し、シンセ・サウンドを大胆に取り入れたセカンド・アルバム『Find Hell(ファインド・ヘル)』をリリースした。2019年7月『Bad Phase(バッド・フェイズ)』をリリース。