【新作を紐解く】ポップ・ミュージックの概念をぶち壊し続けるNYのエレクトロ・デュオ、スレイ・ベルズ


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M.I.Aに見出され、2010年に発売されたファースト・アルバム『トリーツ』はピッチフォークで8.7点/ベスト・ニュー・ミュージックを獲得し華々しいデビューを飾った、スレイ・ベルズ。デビュー以来、実験的なサウンドでポップ音楽界のイのベーターとして存在を確立してきた。そんな彼らがついに待望の4作目となるニュー・アルバム『ジェシカ・ラビット』を今週リリースした。今回もポップ・ミュージックの概念をぶち壊す作品を届けてくれた。

バンドは2009年にニューヨークのブルックリンにて結成され、この新作までに3枚のアルバムを発表。彼らの楽曲は今までに、ソフィア・コッポラ監督の映画『ブリングリング』や『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』のトレイラー、Netflixのドラマ『ジェシカ・ジョーンズ』挿入歌、iPhone5cのCMなどで広く使用されており、デビュー以来音楽業界のみならずエンターテイメント業界からも熱い視線が注がれている。日本ではデビュー時にライブを行って以来、来日公演は行われていない。そこで今回、日本では知名度がまだ低いスレイ・ベルズのバンドの歩みを振り返りながらニュー・アルバム『ジェシカ・ラビット』を紐解いていきたい。

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【成り立ち】

スレイ・ベルズはデレク・ミラー(ギター&プロダクション)とアレクシス・クラウス(ヴォーカル)によるユニット。デレクは過去にマイアミのハードコア・バンド、ポイズン・ザ・ウェルの元メンバーとしてメジャーデビューの経験もある。アレクシスはNYで子役タレントとして活動後、芸能活動を辞めて教師(!)をしていた。二人が運命的な出会いを果たした場所は、なんとデレクが働いていたブラジリアン・レストラン。後に、スレイ・ベルズを結成し、2009年にEP『スレイ・ベルズ』を自主リリース。パンチのある轟音ポップで、「Crown On The Ground」はPitchforkの選ぶ2009年のベスト・トラックで59位にランクイン。後に、『マルコヴィッチの穴』などを手がける奇才、スパイク・ジョーンズ監督がネットでたまたま見つけたスレイ・ベルズの楽曲に惚れ込み、彼の仲の良いアーティストの1人でもある、M.I.Aに彼らの楽曲について熱弁。スレイ・ベルズの音楽を気に入ったM.I.A本人から「明日NYでライブがあるから、ぶちかましてよ」と連絡を受け、急遽無名に近いスレイ・ベルズが世界的ポップ・スターの前座として大抜擢された。その後、M.I.Aと良好な関係を築き上げ、彼女のレーベル<N.E.E.T >と契約するに至った。

【過去の作品について】

2010年に発売されたファースト・アルバム『トリーツ』は全米インディー・アルバム・チャートで堂々の4位を獲得。さらに、デビュー作ながらiTunesでは配信からたったの24時間で3位にランクインするという脅威の記録を叩き出した。鮮烈デビューを飾ると同時にインデイー・ポップの新星として印象付ける出来事となった。音楽専門誌でもその爆音ビートとアグレッシヴなサウンドは高く評価され、Pitchforkの年間ベスト・アルバムでは16位に選定された。その勢いは日本にも飛び火し、日本デビュー前にも関わらず初来日公演を実施。デジタル・ビートにのせた轟音ポップソングを掻きならしたライブ・パフォーマンスは話題となった。

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デビュー作から2年後には、<N.E.E.T >を離れセカンド・アルバムとなる『レイン・オブ・テラー』をリリース。インディー・チャートでは首位を獲得し、全米アルバムチャートでは、12位まで浮上。アルバム制作期間中に、デレクは父親を亡くし深い喪失感に苛まれていたそう。デレクの心情が投影されるかのように、前作よりもダークなエッセンスを感じさせる作品となった。全米では敏腕プロデューサー、DIPLOとのツアーを成功させ、日本でもクリスタル・キャッスルズとのジョイント・ツアーでの2年ぶりの来日を予定していた。しかし、アーティストのスケジュールの都合で残念ながらキャンセルに。

2013年にサード・アルバム『ビター・ライバルズ』を発表。超個性的なサウンドは、ヒップホップや最新ベース・ミュージックのビートをも飲み込みさらに進化。彼らにしか描けない、アグレッシヴでフューチャリスティックなポップミュージックを奏でている。過去2作では、シェイン・ストーンバックが担当していたエンジニアは、三作目ではカニエ・ウェストのお気に入りとして知られるアンドリュー・ドーソンが手がけた。さらに、音楽活動の幅は広がり、フェニックス「Chloroform」のリミックスも手がけた。

【最新作について】

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今までコンスタントにアルバムを発表していたスレイ・ベルズ。長い潜伏期間を経て、3年ぶりとなる待望の4作目『ジェシカ・ラビット』を今週発売した。ミックスを担当したのは、前作に続きアンドリュー・ドーソン。アルバムのクリエイティブな制作過程において、今回はじめて外部からアドバイスを受けた。いくつかの収録曲では、ドクター・ドレーやフィオナ・アップルなどの大物ミュージシャンを手掛けるマイク・エリゾンドと共に楽曲制作に取り組んだ。ジグザグと様々な方向に飛び交う音の嵐がシナプスを刺激する、ポップ・ミュージックの概念をぶち壊す作品が誕生した。

アレクシスの力強いヴォーカルとシネマティックなサウンドが印象的なアルバムからのメイン・シングル「I Can Only Stare」について、ギターのデレクは部分的にザ・スミスに影響を受けたと語っている。映像では、ヴォーカルのアレクシスが不幸な運命を辿る3人の女性を演じている。下記からチェックしてほしい。(化粧や着るもので雰囲気が全く異なるアレクシスの美しさにも注目。)

アルバムアナウンスと同時に公開され、アルバムの1曲目を飾る「It’s Just Us Now」。爆音ギターノイズと急激に変わるテンポが印象的な曲だ。

それとは対照的に、激しいギターのノイズをあえて封印し、90年代のポップの懐かしさすら感じる「Champions Of Unrestricted Beauty」。これは、日本盤ダウンロード・ボーナストラックとして収録されている。(輸入盤には収録されていないので注意)

常に人々がしてこなかった音の組み合わせに挑戦し、作品を重ねる事に進化していくスレイ・ベルズ。今作でも期待を裏切らないエッジの効いた作品を引っ提げて戻ってきてくれた。ぜひ、『ジェシカ・ラビット』を手にとって聞いてほしい。

■リリース情報
アーティスト名:Sleigh Bells (スレイ・ベルズ)
タイトル:Jessica Rabbit (ジェシカ・ラビット)
レーベル:Torn Clean / Lucky Number / Hostess
発売日:絶賛発売中!
品番:HSE-6324
価格:2100円+税
※初回仕様限定:ボーナストラック・ダウンロードコード付ステッカー封入(フォーマット:mp3)、歌詞対訳、ライナーノーツ(出嶌孝次) 付

※iTunesでも配信中!
リンク:https://itunes.apple.com/jp/album/jessica-rabbit/id1152388008